エルディアの辺りに、掃除が大の苦手なエルフの少女エリーゼがいた。彼女の自室は、魔法の道具や書物で溢れかえり、おまけに大掃除の日だった。エリーゼは箒を手に、戦いを前にした勇者のように気合を入れてみたものの、部屋の中央に立ち尽くしてしまう。

「さて、と…」と呟きながら箒を振るが、魔法の粉が舞い、書物は山を崩し、ぬいぐるみは転がる始末。箒を振る度に、新たなカオスが生まれる。エリーゼの掃除法は、どちらかというと「混乱の呪文」に近かった。

「魔法の修行は得意なのに、なぜか掃除魔法だけは…」と、エリーゼは自分の掃除の才能のなさにため息をつく。彼女は箒を魔法の杖のように振り、「清潔光線！」と叫ぶも、唯一の結果は猫のぬいぐるみが鼻歌混じりで踊り出すことだけだった。

そんな折、フローラという名の友人が突然訪ねてきた。エリーゼの部屋の有様を見て、フローラは笑いをこらえながら言った。「エリーゼ、君はいつも掃除を魔法で解決しようとするけれど、時には普通の方法も試してみたらどうかしら？」

フローラの提案で、二人は一から掃除を始める。エリーゼはフローラに教わりながら、箒を使って床を掃き、布でほこりを拭き取る。時折、エリーゼは掃除用具を魔法の杖と勘違いしてしまい、二人は笑い転げる。

掃除が終わりに近づくと、エリーゼは新たな発見をする。「ねえフローラ、これはこれで楽しいかも！」と、彼女は満足げに言った。部屋がピカピカになり、掃除用具も魔法の杖も、それぞれの役割があることをエリーゼは学んだのだった。

フローラと一緒に掃除を終えたエリーゼは、新たな決意を胸に秘める。「来年の大掃除は、もう少し計画的にやろう！」と心に誓いながら、フローラと共に部屋で新しい魔法の研究に没頭するのだった。